日危倉98-1
平成10年9月8日
 
自治省 , 消防庁危険物規制課
課長 小林 恭一 殿
 
東京都中央区入船2-3-7
日本危険物倉庫協会
会 長 永瀬  章
  
 
高引火点危険物の規制についての御願い
  
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご指導を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、危険物の物流に関しまして、より高い安全性の確保、より高い信頼性の責任体制、より一層の環境保全の確保等、社会的要請が高まって来ております。危険物の貯蔵、取扱、輸送を行っています倉庫及びタンクヤード業界にとりましても、これらの問題を解決していく必要がありますが、個別各社で対応することが厳しい状況になってきております。このような状況下で、顧客や社会に対し安全で信頼できる物流を提供するため、調査研究・情報交換をするセンターが必要であるとの認識に立ち、去る7月6日に日本危険物倉庫協会が設立されました。
 幣協会の最初の作業として、貴庁で検討されている危険物の区分について調査研究をすることとし、幣業界で取扱数量の多い第四類の危険物について種々検討致しました。
 まず、国際基準との整合性という社会的要請もありますが、危険物運送の面から国連勧告では引火点61℃以下、欧州規制(ADR)では100℃以下、米国規制(CFR)では93℃以下のものを危険物として規制されておりますが、我が国における引火点による現行規制においては、
 第四類第一石油類 引火点 21℃未満
 第四類第二石油類 引火点 21℃以上70℃未満
 第四類第三石油類 引火点 70℃以上200℃未満
 第四類第四石油類 引火点 200℃以上
となっており、その内第三〜四石油類の数量的割合は70%を超えるもので有ります。この70%を超える危険物が従来では消防法許可施設の中において安全管理されていましたが、国際基準と同一整合させる事となれば大量な危険物を市中に野放しにする様な事となります。この事は我が国の国土は平地部が狭小で有り、その部分に産業及び人口が過密に集中しており、その過密な住宅地・人口密集地等において一般品と同様に貯蔵・取扱される事となる事は一般住民を常時大きな危険にさらす事となるのではないかと考えます。
更に、ひとたび火災発生した場合、消火が困難な性質上、爆発の可能性も有り、一般住民を危険に陥れる事となります。
 又、産業・商業地域においては産業車の慢性的混雑、人口が密集する一般市街地・住宅地等においての狭小な道路に阻まれ消防活動は非常に困難な事が予測され、被害が必要以上に拡大する恐れが有ります。
依って、国際基準と同一レベルで規制される事は我が国の国情にそぐわないと存知上げます。
 つきましては貴庁の危険物の区分に関する基準のご検討の際には相当高い引火点迄危険物として規制して頂きます様、御願い申し上げます。
 尚、第三・四石油類に属する代表的な一部の商品名とその名称及び引火点を別添資料として提出申し上げます。
以  上